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話題:中小零細企業にとって『値上げするか?廃業するか?』 それが問題だ

ラーメン店の廃業が急増している

続々つぶれているラーメン店、2023年1月~8月は前年の3.5倍に急増。小・零細店が力尽きる(東京商工リサーチ調べ)

https://news.yahoo.co.jp/articles/d07f5447655247ca390597b592b88cc45384a906

 

売上規模1000万円以下、従業員5名以下の所謂「町のラーメン屋さん」の廃業が急増しているそうだ。これはラーメン店に限らず個人経営の飲食店や食品製造販売店、様々なサービス業も同じような状況ではないかと考えられる。

ラーメン店は、麺、醤油、ラード、豚肉など原材料の高騰に加えて電気ガス代の高騰と人件費の高騰で経費が急増している。今の価格では赤字になるので廃業を決める店が多いのだそうだ。

ラーメンには1000円の壁があるそうだが、町のラーメン屋さんは1000円の壁は関係ないように思われる。今の価格ではやっていけないのであれば「なぜ値上げしないのだろうか?」

 

値上げ策の意外な真実?

今や毎月のように何かしらが値上げされていて一般消費者は「今度は何が値上げされるの」と諦めムードに近い。

大手食品メーカーによっては、この1年間に3~4回値上げしている所もある始末だ。原材料費の高騰、ガソリン高による物流費の高騰、電気代の高騰、人件費の高騰と「高騰」だらけだ。基本的には経費の上昇分を価格転嫁で補填しているのだが、調味料を中心に便乗値上げではないかと勘繰りたくなる大企業も見受けられる。

さて、何故に調味料を製造している大手メーカーは度重なる値上げをするのだろうか?

これは私見だが、醤油やマヨネーズ、天ぷら粉などの調味料は基本的に代替がきかず、100円値上がりしたからと言って買い控えはあっても使用を止めることは考えられない。

面白いことに「値上げした企業の業績は過去最高益を出している」企業がとても多いのだ。つまり、値上げで買い控えが起こって販売数が減少しても利益はむしろ増加することに気づいたのではないだろうか。是非ここは読者の皆さんには覚えておいて欲しい。

 

中小事業者が値上げに踏み切れない理由

私は、コロナ前も今も「利益確保のために値上げしましょう」と助言することが多いのだが、多くの経営者は2つの理由から中々値上げに踏み切れないでいる。

値上を決断できないその理由は

①値上したらお客様から値上げしたことに対してクレームが殺到するから嫌だ

②値上したら客離れを起こして売上が無くなるか心配だ

個人的には、値上げして失敗してから廃業を決めてもいいのではないかと思うのだが、多くの事業者は値上げせずに諦めて廃業してしまう。

 

お客様の理解が得られれば値上げは容認される

お店都合が前面に出たお客様無視の値上げは間違いなく致命傷になりかねない。

これは最悪だなと感じられるのがこれだ。ネットのニュースで「ファミレスAのランチが9/27(明日)から600円から700円に値上げされます」という記事が配信された時だ。いきなり値上げは絶対に避けるべき。10月からビールが値上がりしますと告知している店といきなり10/1に値上げしている店ではお客様の感じ方は全く異なりませんか。

値上する場合は『事前告知』をお勧めします。

お客様の理解を得るため告知には「なぜ値上げするのか」の理由が必要です。

「10年間値上げせずに頑張ってきましたが、卵の仕入価格が高騰しており今の価格での提供が困難になってまいりました。お客様には大変心苦しいのですが10月よりオムライスの価格を100円値上げさせていただきます。皆様の暖かいご理解をお願いします」など

値上のクレームどころか「もっと早く値上げしなきゃ」「もっと大幅に200円位上げた方が良いんじゃないの」という声がお客様から聞かれることも多いから面白い。

 

受け入れられる価格と売上が激減する価格とは

一番避けなければいけない値上げは、仕入原価が10%増加したから10%とか12%値上げすること。おそらく来月にはまた値上げを検討しなくてはいけなくなりますよ。

経験上、中小であれば最大20%までなら許容される金額です。もし30%も40%も値上げせざるを得ない場合は商品企画の見直しも検討する余地あり。

また、一律20%値上げするのではなく単品ごとに戦略を持つことや単品では10~25%の価格変更をしてトータル20%を目指す。購買心理学的に買いやすい価格に微調整も必須ですが、本日は紙面の関係で割愛します。

 

適正値上げは店舗存続のためには避けられない

値上=悪 値上=お客様を裏切るではありません。クレームが来たらどうしよう、お客様が来店されなくなったらどうしようと心配する必要はありません。正しい手順でお客様の理解が得られるような価格変更をすればきっとお客様に受け入れられるはずです。

値上するのは厳しくても値下げするのは難しくない。ということは万が一、値上げが受け入れられなければ値下げすれば済むこと。もちろん、お客様から「値上げが失敗したから値下げするんだ」と思われない正しい手順の値下げ方法もちゃんとあるので安心して下さい。まあ、このような状況になったことは1度もありませんから大丈夫ですよ。